大地震が起きたときに役に立つの?防災士という資格について調べてみた

地震

このブログ「地震対策JP」では、地震対策に役立つ情報をまとめていますが、そもそも大地震が来たときに役立つ資格というものはあるのでしょうか。調べてみたところ防災士(ぼうさいし)という資格が存在することが分かりました。私としては初めて聞く資格ですがいったいどういうものなのでしょうか。調べてみました。

大地震が起きたときに役に立つの?防災士という資格について調べてみた

防災士とは

防災士とは、公的機関などによる国家資格ではなく、特定非営利活動法人日本防災士機構による民間資格なんですな。まあNPO法人の定める資格なんで大して難しいものではないのかな?資格取ってみようかな?なんて思ったりして。そもそも防災士とは何なのでしょうか。

日本防災士機構の定義によると、『防災士とは「“自助” “共助” “協働”を原則として、かつ、“公助”との連携充実につとめて、社会の様々な場で減災と社会の防災力向上のための活動が期待され、さらに、そのために十分な意識・知識・技能を有する者として認められた人」のことである』とあります。

自助:自らを守る行動、共助:地域市民とともに助け合う行動、公助:国や自治体による行動ということですから、自分の身を守るだけでなく災害ボランティアをしたい方や災害対策専門家が取得するような資格なんですな。

じゃあ防災士って具体的に何をするのかっていうと、主として地震や水害、火山噴火、土砂災害などの災害において、公的機関や民間組織、個人と力を合わせて大災害に備えた自助・共助活動等の訓練や、防災と救助等の技術の練磨などに取り組むこと。そして実際に災害が発生した際にはそれぞれの所属する団体・企業や地域などの要請により避難や救助・救命、避難所の運営などにあたり、地域自治体など公的な組織やボランティアの人達と協働して活動するのだそう。

なるほど。事前の訓練と、実際の災害対策活動の両方について力を合わせてやりましょうということなんですな。

で、NPO法人日本防災士機構自体は2002年に設立されて、現在の資格取得者は2017年4月時点で約13万人いるそうです。多いのか少ないのか。また年齢制限はなく更新や有効期限もありません。国籍も問いません。

防災士の資格取得の流れ

防災士の資格を取得するためには、大きく分けて3つのステップが必要となります。ひとつずつご紹介します。

防災士養成研修講座を受講する

まず日本防災士機構が認証した研修機関が実施する集合研修「防災士養成研修講座」を受講して、「研修履修証明」を取得します。防災士養成研修講座では防災士教本に示す履修項目31講目のうち最低12講目以上を履修するので最低でも2日間以上の日程で実施されるとのこと。

ちなみに履修項目31項目はこちら。多岐にわたりますな。私なら地震メインで受講したいですけど。

●序論
第1講 近年の自然災害に学ぶ
第2講 防災士の役割
●いのちを自分で守る~自助~
第3講 身近でできる防災対策
第4講 耐震診断と補強
第5講 災害とライフライン
第6講 災害と交通インフラ
第7講 災害医療
●地域で活動する~共助・協働~
第8講 行政の災害対応
第9講 避難所運営と仮設住宅の暮らし
第10講 災害と応急対策
第11講 地域の自主防災活動
第12講 災害とボランティア活動
第13講 緊急救助技術を身につける
第14講 防災訓練
●災害発生の仕組みを学ぶ~科学~
第15講 地震のしくみと被害
第16講 津波のしくみと被害
第17講 火山噴火のしくみと被害
第18講 風水害と対策
第19講 土砂災害と対策
第20講 火災と防火対策
●災害に関わる情報を知る~情報~
第21講 災害情報の発信と入手
第22講 災害と流言・風評
第23講 公的機関による予報・警報
第24講 地震に関する知見・情報
第25講 被害想定とハザードマップ
第26講 避難と避難行動
●新たな減災や危機管理の手法を身につける
~予防・復興~
第27講 都市防災
第28講 災害と危機管理
第29講 企業防災と事業継続計画
第30講 災害と損害保険
第31講 地域の復旧と復興

防災士養成研修の申込みとその後

それではどこで防災士養成研修が受けられるのでしょうか。一覧リストはこちらにあります。
http://bousaisi.jp/license/municipality/

でもこの一覧リスト、各機関のトップページにリンクされているだけで全然分かりません。ちょっと調べてみました。
株式会社防災士研修センターなるものがありましたので見てみます。

株式会社防災士研修センターの防災士研修講座は「自宅学習(履修確認レポート/試験対策学習)」と「会場研修」の2本立てで構成しています。

まず自宅学習ということで会場研修の約3~4週間前に届く教材一式を使って学習したり事前課題(履修確認レポート)を作成します。その次に会場研修という合同研修を朝から晩まで丸二日かけて行います。

そして二日目の研修終了後に防災士資格取得試験を実施します。ちなみに日本防災士機構では過去の試験問題は公表していません。試験対策をしたい方は受験経験者のブログなどを探すと良いでしょう。

申込み方法はインターネットの申込みフォームまたはFAXで、支払い方法は郵便局備え付けの用紙による郵便振替払いです。クレジットカードは使えません。

つまり申込みから防災士の試験を受けるまでの期間は最短約1ヶ月少々ということになりますね。

防災士の資格取得費用

で、気になる研修費用と資格取得費用ですが、次のようになります。

防災士研修講座受講料 52,920円
防災士資格取得試験受験料3,000円(預り金)
防災士資格認証登録料 5,000円(預り金)
総額 60,920円(税込)

高え〜(爆)、自衛のためになんとなく取得したいなあという人にとっては高すぎます。

ただし助成金制度や割引制度、特例制度があるそうです。

助成金制度については、助成金一覧に防災士資格取得への助成制度のある自治体のリストがあります。東京都23区では、江東区・新宿区・文京区・港区・目黒区の5区だけですな。

ではどれくらい助成金が出るのか各区のサイトを調べましたが、はっきりした助成金額は分かりませんでした。どの区も「地域防災リーダーを育てるために助成金を出すよ」「防災区民組織等からの推薦がある方に防災士研修講座受講料及び資格取得試験受験料を助成するよ」と言っていますが、それなりに地域貢献することが裏付けられている人にしか助成金は出ないようです。誰でも希望者に助成金が出る、というものではなさそうです。

では割引制度はどうでしょうか。防災士研修センターが実施する防災士研修講座では学生割引制度があります。学校法人として認可された高等学校、専門学校、大学、大学院などの教育機関に通学し、その機関より発行された有効期間内の学生証を提示できる場合に防災士研修講座受講料が50%割引されます。つまり52,920円が26,460円になります。これはデカい!って、俺らオッサンは無理ってことか。。。

そして特例制度は、警察官(巡査部長以上、退職者を含む)、消防官(退職者を含む)、日本赤十字社「救急法救急員」、消防団員(分団長以上、退職者を含む)を対象としたもので、料金や受講時間、教材から異なってくるとのこと。これも一般の私たちは対象外ですな。

さらに救急救命講習の受講が必要

防災士研修講座と資格取得試験合格だけでは防災士の申請資格に足りません。都道府県市町村ならびに全国各消防署及び日本赤十字社(各支部)の他、日本防災士機構が認定している機関にて、いずれかの救急救命講習等を受講しなければなりません。ちなみに自動車の二種免許保持者は応急救護処置講習を受けていますのでこれも含まれます。ただしいずれにしても修了証に有効期限の記載があるものは期間内のものでなければならず、期限切れの場合は再受講するなどが必要です。
http://bousaisi.jp/license/

例えば新宿消防署で行っている救命講習「普通救命講習Ⅰ」だと、毎月20日に開催していて申込みは電話か直接来署で受け付けています。受講費用は教材費(テキスト、マウスピース)として1400円を受講日当日に持参して払います。認定機関は3年となります。

まとめ

以上の、①防災士研修講座受講履修証取得、②防災士資格取得試験合格、③救急救命実技講習修了取得をもって防災士認証登録申請を行うことができます。資格証が届くまでは最短で2,3ヶ月かかる模様です。

自分や家族、周りの人の力になれたらいいなと防災士資格取得をちょいと考えていたのですが、予想以上にハードルは高いようです。でもそれだけ強力な経験と知識を身につけられるものであるため、防災リーダーを目指す方は是非検討してみてはいかがでしょうか。

とりあえず私は消防署で救命講習「普通救命講習Ⅰ」を受けてみたいとは思いました。

 

以上、最後までご覧下さり誠にありがとうございました。

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