大地震が発生して、自宅のダメージが大きかったりライフラインが確保できず生活に支障を来す場合は避難所生活を余儀なくされることがあります。通常は自宅の近くの避難所を事前に確認しておくべきなのですが、最近耳にするようになった「指定緊急避難場所」と「指定避難所」があるようです。どう違うのでしょうか。
知らなかった!避難場所と避難所の違いと、都内の避難場所・避難所リスト一覧
避難場所と避難所の違い
ひとことに避難所と言っても、最近では指定緊急避難場所と指定避難所とがあります。どんな違いがあるか調べてみました。
内閣府が平成29年3月に発表した「指定緊急避難場所の指定に関する手引き」には次のように書かれています。
指定緊急避難場所:居住者等が災害から命を守るために緊急的に避難する施設又は場所
指定避難所:避難した居住者等が災害の危険がなくなるまで一定期間滞在し、又は災害により自宅へ戻れなくなった居住者等が一時的に滞在する施設
どちらも災害から身を守るための避難所であることは違いがありませんが、一時的に避難する場所が「指定緊急避難場所」で、避難生活を送る場所が「指定避難所」となります。機能条件を満たすことにより両方を兼ねることも可能だそうです。
「指定緊急避難場所の指定に関する手引き」は災害対策基本法等の一部を改正する法律(平成25年法律第 54 号)が公布され、市町村長による指定緊急避難場所の指定制度が平成26年4月1日から施行されたんだけど、その後の平成26年8月の広島土砂災害、平成27年9月の関東東北豪雨による水害を受けてしまい、でもでもうまくいかないから要点をまとめたよ、というものです。
http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/pdf/shiteitebiki.pdf
実際、平成23年3月の東日本大震災では、津波からの避難先として想定されていた、災害対策基本法改正以前のいわゆる「避難所」に避難した結果、居住者等が被災するといった事例が報告されており、法はこのような教訓を踏まえ、同一の施設や場所(例:学校)が全ての災害種別に対して安全な避難場所であるとは限らないことから、災害種別に応じた適切な指定の検討を求めているとのことです。
つまり東日本大震災では避難所に逃げてみたらそこが津波に襲われてしまった、ということがあったそうです。なので指定緊急避難場所ってのは、災害の種類によってケースバイケースで決めないといけないよ、と言っています。
東京都内の避難場所と指定避難所
内閣府では上記の通り指定緊急避難場所と指定避難所と区分していますが、自治体によっては表現が異なるようです。
例えば東京都新宿区のサイトを見てみます。
http://www.city.shinjuku.lg.jp/anzen/file03_00022.html
避難場所(広域避難場所)は、「大規模な延焼火災やその他の危険から身を守るために避難する場所です。大規模公園、緑地、耐火建築物地域などのオープンスペースを東京都が指定しています。」としています。これは内閣府の言う指定緊急避難場所ですね。地域によっては一時集合場所などとも言われています。
ちなみに避難場所は東京都震災対策条例に基づき昭和47年から東京都が指定していて、おおむね5年ごとに見直しが行われています。
そして避難所は、「住む家を失った人の一時的な生活の場所です。区立の小中学校等が指定されています。」としています。これは内閣府の言う指定避難所ですね。
さらに新宿区では「震災時の避難所」と「水害時の避難所」に分けています。新宿区は神田川が流れていてその周辺は水害により水没する危険性をはらんでいるためでしょう。
別途詳しく記事にしたいとは思いますが、もしも東京に関東大震災クラスの地震が来た場合、東京湾内に津波が押し寄せてくる可能性があります。その際には都内のあらゆる河川や地下鉄のトンネルを抜けて大量の水が流入することが想定されています。津波の発生は非常に早いため、もしもできることなら「震災時の避難所」と「水害時の避難所」を兼ねた避難所に避難することが賢明と思います。
さらに細かい避難所と避難場所の役割
港区のホームページでは以下のように分類しています。区によっては呼び名がことなりますがだいたいこのように分けることができます。
広域避難場所
震災時、火災の延焼による危険から避難する場所。
地区内残留地区
震災時、火災の延焼の危険性が少なく、広域避難場所に避難する必要がない地区。
区民避難所(地域防災拠点)
災害による家屋の倒壊・延焼等で被害を受けた区民の一時的な生活場所。
福祉避難所
在宅や区民避難所(地域防災拠点)での生活が困難で、介護などのサービスを必要とする高齢者や障害者の一時的な生活場所。
帰宅困難者一時受入れ場所
災害時に、帰宅が可能になるまで待機する場所がない帰宅困難者を一時的に受け入れる場所。
東京二十三区の避難所・避難場所の一覧リスト
避難所・避難場所について一覧リストにしてみました。よかったらお使い下さい。
区によっては避難所・避難場所について、一覧リストになっている区、検索しかできない区、CSVデータでダウンロードできる区など様々でした。
千代田区
https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kurashi/bosai/hinan/kensaku/index.html
中央区
http://www.city.chuo.lg.jp/bosai/bosai/hinanjohinnanbasho/index.html
港区
https://www.city.minato.tokyo.jp/bousai/bosai-anzen/bosai/daishinsai/hinanjo.html
新宿区
http://www.city.shinjuku.lg.jp/anzen/file03_00022.html
文京区
http://www.city.bunkyo.lg.jp/bosai/bosai/bousai/hinanbasyo.html
台東区
https://www.city.taito.lg.jp/index/kurashi/bosai/bosaimap.html
江東区
http://www.city.koto.lg.jp/bosai-top/hinanjo/index.html
品川区
http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/bosai/bosai-bosai/bosai-bosai-zishin/index.html
目黒区
http://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/anzen/bosai/type/earthquake/jishin/hinan/index.html
大田区
https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/chiiki/bousai/hinanjyo/index.html
世田谷区
http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/107/165/831/d00128020.html
渋谷区
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/anzen/bosai/hinan/basyo.html
中野区
http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/508000/d007421.html
杉並区
http://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/kyukyu/hinanjo/index.html
豊島区
https://www.city.toshima.lg.jp/044/bosai/taisaku/hinanjo/006307.html
北区
http://www.city.kita.tokyo.jp/bosai/bosai-bohan/bosai/shinsai/chizu.html
荒川区
https://www.city.arakawa.tokyo.jp/kurashi/bosaibohan/hinanbasho/index.html
板橋区
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_categories/index03005003.html
練馬区
http://www.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/bosai/jishinsonae/bousai_chizu.html
足立区
https://www.city.adachi.tokyo.jp/saigai/bosai/bosai/hinanjo-tejun.html
葛飾区
http://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000063/1004030/1004759.html
江戸川区
http://www.city.edogawa.tokyo.jp/edg/bousai_map/search-1.html
まとめ
うう、、一覧リスト作るの疲れました。。。
ともあれ、内閣府の言う指定緊急避難場所と指定避難所、地方自治体の言う避難場所と避難所、違いはお分かりいただけましたでしょうか。「指定」がついているかいないかだけで、一時的に避難するのは避難場所、避難生活を送るのは避難所ということになります。
また超大規模な地震が起きた場合は、東京都内であっても水害を考慮して避難する必要がありますので、避難所・避難場所選びにはご留意されますことをオススメします。
以上、最後までご覧下さり誠にありがとうございました!