昨今の新型コロナウイルス感染症の間違った知識や民間療法がネットにあふれる中、正しい予防方法や対策についてまとめた。当ブログでは人命を最重要視しているため、本来の災害・地震ネタよりズレることをご容赦頂きたい。
WHOは「マスクをすることは感染者が他者への感染を抑えることはできるが、感染していない人がマスクをしてもあまり効果がない」という旨を発表しており、マスコミ各社も過剰なマスク需要を控えるようアナウンスしている。果たして本当なのだろうか。
昨今のWHOの発言を見ると、中国を不思議なほど絶賛し、日本や韓国をスケープゴートにするかのようなものが目立つため、もはやWHOの存在すら信憑性に欠けていると言わざるを得ない。2019年末より武漢肺炎を感知しておきながら静観し続けた団体だからだ。
そこで本当にマスクは新型コロナウイルス感染症に対して効果がないのか、政府や業界データが発表するデータなどから紐解いていきたい。なお、本文ではウイルスだけでなく細菌も当てはまることがあるが、便宜上、基本的にウイルスで書いていることをご理解賜りたい。
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新型コロナウイルス感染症にはマスクは無意味なのか。使うべきマスクと洗濯の可否について
新型コロナウイルス感染症に関する情報そのものの現状把握
新型と言われるだけ有り、新型コロナウイルスについては日本政府を初めとして国際的にも、本当に正しい対処法や感染経路などは確定していないのが現状である。唯一中国においては感染者や死者の母数が多いだけに情報を多く持っているが、正確なウラの取れたものと言うよりも、いずれにせよ「傾向」と「可能性」の高いものを述べているのに過ぎない。これはWHO(世界保健機関)ですら例外でない。むしろWHOは中国のベクトルを強く受け、中国の都合の良い発表をしていると言わざるを得ないが、代表的な世界医療関連機関となるため全て疑うのも難しい。
したがって当ブログでも極力正確な情報を伝えられるよう努力するが、日々の情報更新に注目して頂き、当ブログに限らずネット情報を鵜呑みにせず、デマに載ることないよう注意頂きたい。
なお、インフルエンザが原因で直接的お呼び間接的に生じた死亡者を推定する「超過死亡概念」による年間死亡者は、世界で約25〜50万人、日本で約1万人と推定される。かたや新型コロナウイルスによる日本国内での死者は執筆時点で数十人程度である。インフルエンザと比べて低い死亡数と言える。
過度なPCR検査実施により医療崩壊が始まっている他国と比べて、日本では確かに検査数は少ないが、昨今の政府要請により医療体制・検査体制・法体制の整備を行う時間稼ぎをしていることから、もし新型コロナウイルスに罹患しても重症化や死亡するリスクは低くなる方向と思われる。
新型コロナウイルスは流行風邪の一種であるため、完全に封じ込めることはできないが遠くないうちに、ワクチンや治療薬の開発が進められるだろう。暫定的にはインフルエンザ治療薬の応用品が新型コロナウイルスの治療薬になるのではないかと勝手な想像をしている。
また、新型コロナウイルス感染症により重層化およびハイリスク群についてもインフルエンザと類似しており、慢性呼吸器疾患や慢性心疾患、糖尿病などの代謝性疾患などとなっている。
新型コロナウイルス感染症に関する日本政府の発表
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策本部 令和2年2月25日決定によると以下の通り。
・一般的な状況における感染経路は飛沫感染、接触感染であり、空気感染は起きていないと考えられる。閉鎖空間において近距離で多くの人と会話する等の一定の環境下であれば、咳やくしゃみ等がなくても感染を拡大させるリスクがある。
・感染力は事例によって様々である。一部に、特定の人から多くの人に感染が拡大したと疑われる事例がある一方で、多くの事例では感染者は周囲の人にほとんど感染させていない。
・発熱や呼吸器症状が1週間前後持続することが多く、強いだるさ(倦怠感)を訴える人が多い。また、季節性インフルエンザよりも入院期間が長くなる事例が報告されている。
・罹患しても軽症であったり、治癒する例も多い。重症度としては、致死率が極めて高い感染症ほどではないものの、季節性インフルエンザと比べて高いリスクがある。特に、高齢者・基礎疾患を有する者では重症化するリスクが高い。
・インフルエンザのように有効性が確認された抗ウイルス薬がなく、対症療法が中心である。また、現在のところ、迅速診断用の簡易検査キットがない。
・一方、治療方法については、他のウイルスに対する治療薬等が効果的である可能性がある。
どうだろう。冒頭に述べた「傾向」「可能性」で語っていることがよく分かる。主に後半は疑う余地が少ないが、感染経路についてはやや疑問が残る。医学的な言葉の定義はさておき、空気感染に限りなく近い事象は、感染者の傾向を見ても明らかではないだろうか。
新型コロナウイルスのスペック
正式名称:新型コロナウイルスの名は、一時的に「2019-nCoV」と呼ばれたが国際ウイルス分類委員会(International Committee on Taxonomy of Viruses:ICTV)において正式に「SARS-CoV-2」と命名された。なお、新型コロナウイルス感染症の正式名称は、2020年2月11日にWHOが「COVID-19」(coronavirus disease 2019)と命名した。このように新型コロナウイルスのウイルス名は「SARS-CoV-2」と感染症名は「COVID-19」と異なる。
大きさ:100nm(0.1ミクロン) ※インフルエンザウイルスと同等
感染方法:主に飛沫感染および接触感染。エアロゾル感染や空気感染のエビデンスがないと日本政府は発表しているが、下記の通り、想定すべきと言える。
生存期間:不明。媒介できる物体以外では長期間生存できないと言われている。※香港食品安全センター
潜伏期間:現時点で潜伏期間は1-12.5日(多くは5-6日)とされる。※WHOの知見
マスクで感染をほぼ完全回避できる可能性:困難。理由は下記の通り。
死滅温度:正しくは不明だが、75度以上で一定時間加熱すると排除できるという情報が有力。「新型コロナウイルスは26〜27度で死滅するのでお湯を飲むと良い」というデマが流れているが、それなら人間の体温で死滅するであろうに。
飛沫感染、エアロゾル感染、空気感染の違い
飛沫(ひまつ)感染
飛沫感染の「飛沫」とは、咳やくしゃみで口から出たしぶき(水滴)による飛沫のことを言う。ウイルス感染者の飛沫にはウイルスが含まれることが多いため、この飛沫を吸引したり粘膜にて吸収してしまった場合に気道粘膜などから感染することを飛沫感染という。大きさは5ミクロン以上が一般的。くしゃみで勢いよく飛ぶ飛沫は例外だが、基本的に飛沫単体では1〜2m以上は飛ぶことが出来ず、重さがあるため時間が経てば地面へ落ちる。
エアロゾル感染
エアロゾル感染とは、飛沫よりも小さい粒子のことで、エーロゾル感染とも言う。いったん地面へ落ち、飛沫の水分が蒸発した後、ふたたび空気中に浮遊できるようになったウイルス等のことを言う。大きさは5ミクロン以下が一般的。空気中に一定の時間漂うことがあるが、医療現場で患者に気管内挿管を行うときなど、とても特殊な環境だけで発生すると言われている。おおざっぱには飛沫感染と空気感染の中間と言える。
空気感染
空気感染とは、別名で飛沫核感染という。エアロゾル感染との違いが明確に定義されている文献を見つけることができなかったが、一般的にはエアロゾルよりも小さく軽く、空気中により長時間漂うウイルスにより感染することを言う。
ウイルスと菌(細菌・真菌)の違い
ウイルス予防や殺菌除菌を語る上でウイルス・細菌・真菌の違いを説明する。
当ブログは医学ブログではないため、なるべく分かりやすくざっくりとなることをお許し頂きたい。
いわゆるバイ菌と言われる細菌にはブドウ球菌や大腸菌、サルモネラ菌などがある。細胞あるいはミドリムシなどが代表される単細胞動物によく似た菌と言える。DNAとRNAの両方を持ち、細胞膜に覆われていて鞭毛で動くことができる。赤血球の大きさが直径7〜8ミクロンなのに対して、大腸菌の大きさは2〜4ミクロンと、最近の大きさは概ね数ミクロンのものが多い。1,000倍程度の光学顕微鏡で観察することが可能。細菌の増殖法方は、細胞分裂で自己増殖しつつ人間の細胞に侵入または毒素を出して細胞を害するものとなる。
また水虫菌やカビなどの真菌もひとつの細胞として構成されるが、鞭毛がなく、核と呼ばれるDNAなどの遺伝情報を包み込む膜が存在するなど、人間の細胞により近い構造となっている。真菌の大きさは細菌よりも大きいものとなる。いわゆるカビとも呼ばれ、増殖方法は菌糸が伸びて枝分かれし奉仕を放出、発芽してまた繰り返しとなる。
ウイルスの構造は、いわゆる細胞とは全く異なり、DNAまたはRNAを含む核酸をカプシドというタンパク質の殻、なかにはエンベローブという膜成分が包み込むのみのシンプルなものが多い。ウイルスは細菌・真菌とは異なり自己増殖が出来ないので、人間の細胞に侵入して増殖する。簡単に言えば、細胞を利用して自分のコピーを沢山作り、その細胞が破壊されるとともに放出され、他の細胞へ侵入を繰り返す。例えばインフルエンザウイルスの大きさは0.1ミクロン、ノロウイルスは0.02ミクロン程度となるため電子顕微鏡で観察をする。
ウイルスはDNAかRNAのどちらかしかなく、DNAウイルス(アデノウイルス、ヘルペスウイルスなど)は丈夫だが増殖が遅く、RNAウイルス(インフルエンザウイルス、C型肝炎ウイルス、狂犬病ウイルスなど)は壊れやすいが増殖が早い特徴がある。
ちなみに「殺菌」という言葉はあるが、「殺ウイルス」という言葉は聞かれない。これは実運用上「殺菌」に細菌とウイルスの両方が含まれているからである。「滅菌」「除菌」なども同様となる。
ウイルスと菌(細菌・真菌)の一般的な対処方法
細菌は抗生物質(抗菌薬)で細胞膜を破壊し、増殖を抑制する。真菌は抗真菌薬にて細胞膜を破壊し、かつ細胞膜の合成を阻害する。
一方、ウイルスには細胞膜がないことなど直接破壊することが簡単ではなく、抗ウイルス薬では直接作用するものと免疫機能を調整するものがある。
細菌やウイルスの病原性を弱めたり、その毒素を無毒化したりするワクチン・予防接種がある。ワクチンを接種すると、細菌やウイルスに対する抗体が身体の中で作られ、白血球が「こいつらは敵だぜ?」と認識するようになる。こうすることにより感染予防や発症予防、重症化予防が期待できるようになる。
ワクチンにも3種類有り、不活性化ワクチン(インフルエンザなど)は病原性を消失させて体内増殖を抑えるもの。生ワクチン(はしか風疹など)は病原性を弱めたウイルスや細菌を摂取することで事前に体内の免疫力を身につけるもの。トキソイド(ジフテリア破傷風など)は無毒化した細菌をワクチンにしたもので毒素による発病を予防するもの。ちなみに混合ワクチンとは生後3ヶ月以降の赤ちゃんが摂取されるが複数のワクチンを合わせたもの。なお、真菌に対するワクチンは存在しない。
市販されている使い捨てマスクで新型コロナウイルスは防げるのか
不織布を重ねて飛沫防止と集塵に特化しただけの家庭用マスクと、さらに抗菌フィルターを実装する医療用マスク(サージカルマスク)では性能も異なる。代表的な市販の使い捨てマスクの概要を挙げてみる。なお、飛沫感染でいわれる飛沫は5ミクロン以上で飛沫核は5ミクロン以下、新型コロナウイルスは0.1ミクロン程度とされる。また、念のためだが、1ミクロン=0.001mm、1000ミクロン=1mmとなる。
▼花粉対策用マスク
花粉粒子の捕集試験をしており、約30ミクロン以上の粒子をカットする。→Amazonで価格を見る
▼風邪、ウイルス対策用マスク
BFE(バクテリア飛沫捕集(ろ過)効率試験 約3ミクロン)、VFE(ウイルス飛沫捕集(ろ過)効率試験 約1.7ミクロン)の試験を行い、99%までのフィルタ捕集効果を表記するものが多い。どちらかというと風邪をうつさないためのものとなる。→Amazonで価格を見る
▼N95マスク
いわゆる工業用マスクとして作業者を空気中の微粒子から守るために用いるが、近年医療機関で感染防止に用いられることが多い。
日本の労働安全基準に基づく防塵マスク規格DS2が相当する。マスク性能として、試験粒子(0.3ミクロン)以上を95%捕集できる。N98やN100もあるが呼吸が厳しいため一般的ではない。
ちなみに、「N」はNot resistant to oilの略で耐油性がないもの。R95などの「R」はResistant to oilで耐油性有り、P95などの「P」はOil Proofで防油性ありとしている。医療現場では油を扱わないためN95を使用することが多い。→Amazonで価格を見る
▼PM2.5対策用マスク
PFE(微粒子捕集(ろ過)効率試験 約0.1ミクロン)の試験を行い、99%までのフィルタ捕集効率を表記。→Amazonで価格を見る
▼医療用マスク(サージカルマスク)
日本には医療用マスクの性能規格基準が存在しない。米国試験材料協会(ASTM)の素材条件(ASTM F2100-11)としては、BFE(バクテリア飛沫捕集(ろ過)効率試験 約3㎛)、PFE(微粒子捕集(ろ過)効率試験 約0.1ミクロン)の試験を行い、95%以上のフィルタ捕集効果を表記。→Amazonで価格を見る
以上の濾過性能から、「風邪、ウイルス対策用マスク」「N95マスク」では飛沫感染をほぼ抑えることが可能だが、新型コロナウイルスをほぼ通過させないのは、いわゆるPFE対応マスクと呼ばれる「PM2・5対策用マスク」または「サージカルマスク」ぐらいなものと言える。しかし頬や鼻などの隙間ができにくいものとなると「N95マスク」は優等生とも言える。
ただし、繰り返しになるが「サージカルマスク」の基準が不明瞭であるため、そのへんの中国メーカーが不織布を三層構造にしただけで安易に「サージカルマスク」として売られている実情がある。早く国産メーカーによるマスクの再登場を期待したい。
マスクを洗って使い回ししてもよいのか
一人が1日一枚使ったとして、4人家族であれば1ヶ月で120枚のマスクを消費するため、多少のストックを所有していたご家庭でもそろそろ残りが心配になってきた頃だろう。
一度使った使い捨てマスクを洗って再度利用することは可能なのか。結論から言えば、お薦めはしない。洗った後には所定の機能・能力を発揮できなくなることを知った上で、あくまで緊急的処置として考えた方がよい。
使い捨てマスクの多くはポリエステル系の不織布(読み方:ふしょくふ)をベースとしている。布生地のような規則的な編み物ではなく、フリーツのように繊維が絡み合って隙間を極小のものにしている。不織布の微粒子捕集性能だけでなく、その素材の性質から弱くマイナス帯電することで粒子を吸着させている。使い捨てマスクは紙で出来ていると思われがちだが、いわゆる化学繊維で作られているのだ。
化学繊維のセーターが静電気でホコリを吸い寄せるように、マスクもそう機能している。これがもし洗って水分を含んだ状態ではほぼマイナス帯電しない。さらに、最近の高機能衣類用洗剤に入った静電防止剤を使うとまた同じく帯電による粒子吸着作用が期待できなくなる。不織布に入り込んだ水分が蒸発することにより、生地に隙間ができる可能性もある。
さらに高機能マスクにはPFEやPM2.5に対応した高性能フィルタが備えていて、これが洗濯・手洗い・つけ置き洗いしたときに本来の性能を発揮できるかというと、常識的に考えても困難。さらに高機能マスクは外側からの防水性を備えているため洗いきれるかも不明。
以上、マスクを洗っても良いことはひとつもないのだ。
新型コロナウイルスは、手洗いで流し落とせることからも界面活性剤が一定の効果を持つため、洗い落とすことは可能ではあるが、これらマスク機能・性能の低下をあらかじめ理解しておくべきである。科学的根拠の低い言い方になるが、こうした洗濯後のマスクは二重にして使うなどした方がいいのではないかとすら思う。
ただし、「洗えるマスク」も市販されており、今回の騒動で注目されている。性能としては基本的に「花粉用マスク」程度のものが多く、花粉サイズ(30ミクロン程度)は防ぐが、飛沫(5ミクロン程度)を捕集する性能は期待できない。どちらかというと「感染しないため」ではなく「感染させないため」のスペックと言えるが、もちろんないよりはマシなわけだし、使い捨てを前提とした使い捨てマスクよりも洗った後の機能低下はどうかわからないが、マスク不足の救世主になる可能性がある。
まとめ
日本政府側としては、「新型コロナウイルスがエアロゾル感染や空気感染するという証拠がない」とアナウンスしているが、ウイルス感染者と一定の距離を保っていても感染した事例があり、濃厚接触感染の定義も曖昧であることから、「新型コロナウイルスがエアロゾル感染や空気感染する可能性が高い」と考えておいた方が良さそうだ。
では、薬局で市販されているマスクでは、新型コロナウイルスに対して無意味なのかというと、けしてそうではないと考える。
まずは、感染者の飛沫や飛沫より小さな飛沫核を吸い込む可能性を下げてくれることは間違いない。
そしてマスクの最大効果のひとつとしては、「マスクをしていると自分で自分の口を触らなくなる」が挙げられる。なにげなく考え事をしたりする際に顔や口の周りに手をやってしまう人は意外と多いが、ウイルスを触ってしまった手でこれをやってしまい感染してしまうケースがある。マスクをしていれば物理的に口を触れる機会が激減するからだ。
新型コロナウイルスのエアロゾル感染の可能性を回避するには、人が密集している場所や、風通しの悪い建物や部屋を避けるしかない。愛煙家の私としては、狭く密閉された喫煙所を使うことができないのが辛いが我慢しようと思う。
以上、最後までご覧下さり誠にありがとうございました。