新しい避難用語「大雨警戒レベル」の5段階の違いと各種情報について

災害対策

地震と並んで日本特有の災害といえば水害です。水害には大雨や津波が主な原因としてありますが、2019年より政府より発表される防災情報として「大雨警戒レベル」が始まりました。意外と新しいワードである大雨警戒レベルについて理解を深め、どのような備えが必要かを考えてみます。

不思議と私が若い頃よりも異常気象が増えたような印象がありますが、近年は災害が起きると次の対策を打つようになってきて、一国民としてはありがたいですね。

新しい避難用語「大雨警戒レベル」の5段階の違いと各種情報について

警戒レベルとは

タイトルには「大雨警戒レベル」と題しましたが、より正確には「警戒レベル」の雨版が「大雨警戒レベル」と呼ばれています。

「警戒レベル」とは内閣府防災担当が平成31年に改訂した「避難勧告等に関するガイドライン」に基づくものです。

従来は災害があったら政府と自治体が「みんな守っちゃう!」という体裁でしたが、そんなのまやかしであって現実的ではないことがここ近年の災害で確認できました。
それは行政の怠慢という意味ではなく、価値観も基準も違う人をまんべんなく救えるわけないじゃんってことだと思います(想像)。

ならば住民が「自らの命は自らが守る」意識を持つ前提で、自らの判断で避難行動をとれるような一定基準に基づく情報を提供した方が良いということで「警戒レベル」が運用されるようになりました。

注意報→警報→特別警報の順にヤバくなるということすらピンと来ない人がいるから、じゃあレベル分けしちゃうじゃん?となったわけです。たぶん。

というわけで、本編は大雨水害を例に書きましたが、高潮・洪水・氾濫なども同様だと折り込んでご覧頂ければと思います。

大雨警戒レベル1 最新情報に注意しよう

大雨警戒レベル1は、大雨水害が発生する可能性があることを気象庁などが確認した際に発表されます。つまりタイミング的にはまだ危機迫る大雨は起きていない状態です。

西日本豪雨をはじめとした大雨水害の場合、低気圧や梅雨前線などが特定の地域に停まる、あるいは横長いそれら大雨の原因が特定の地域に沿って移動を続けることで、降雨日数が長引き、結果的に総降雨量が莫大な量になることで起こります。

情報的には「早期注意情報」が気象庁から発表されるレベルです。

大雨警戒レベル1は、大雨水害が起きる(可能性がある日の)数日前に発表されますので、引き続き気象情報や気象警報に注意したいです。特に地震発生から間もない地域では地盤が緩んでいますので気をつけなければなりません。

また少し時間に余裕がありますので、避難グッズの確認をしておきたいです。避難リュックはどこにあったかな、非常食の賞味期限が切れてないかなと。

大雨警戒レベル2 避難場所や経路などの避難方法を確認しておこう

大雨警戒レベル2は、まもなく気象庁から「大雨・洪水・高潮注意報」が発表されるレベルです。

各地方自治体が公開しているハザードマップに基づき避難経路や避難場所を確認し、これらと連絡方法を家族で決めておきたいものです。その際には2日程度の避難グッズも持って行けるようあらかじめ準備をしておきます。

ハザードマップとは、避難場所や避難経路として適さないような水没や土砂崩れ等の起きやすい場所を記した地図となります。ただし一般的に地方自治体のホームページは検索しづらく、ハザードマップ情報まで行き着けないことでしょう。

そのため政府がまとめたハザードマップ集ともいうべき「重ねるハザードマップ」が非常に便利ですので、事前に確認しておくといいです。

【オススメ記事】
意外とかんたん!国土交通省「重ねるハザードマップポータルサイト」の使い方

 

大雨警戒レベル3 高齢者や移動が不自由な方は避難を開始してください

大雨警戒レベル3は、避難に際して特別な注意が必要な方、避難に時間のかかる方は先行して避難して下さいね、というレベルです。

情報的には、大雨・洪水警報や氾濫警戒情報などが発表された頃のレベルです。そう、このへんから「注意報」ではなく「警報」になります。※例外として高潮注意報も含みます。

別の記事にも書きましたが、「避難勧告」「避難指示」が発令されることが予想される場合、乳幼児や高齢者、入院患者、障がい者の方といった災害弱者を早めに避難させるために前もって発令される「避難準備・高齢者等避難開始(旧避難準備情報)」があります。

レベル4レベル5が発表されてから避難するのでは間に合わない人たちに向けたものです。
保育園や学校、病院、福祉事務所などの関係者は特に注意したい情報ですね。

実際に、予測できない大地震が起きたとします。健常者というか自由に動ける大人を救助するのと、そうではない人を救助するのでは、後者の方がリソースを多く使います。極論言えば、後者を1人救うリソースがあれば、前者を3人救えるかもしれません。でもこれは予測できないのだから仕方がありません。

でも予測できる大雨水害であれば、避難に時間のかかる方を先に安全な場所に行って頂くことで、救助リソースを有効に活用することが出来、全体的な救命率を上げることすら可能です。

そういった打算的な考えもあると推測しますが、災害が不発に終わったとしても避難に時間のかかる方を念のため避難させておくのは災害対策としては正しい姿と考えます。

大雨警戒レベル4 全員避難して下さい

大雨警戒レベル4は、大雨・洪水警報や氾濫警戒情報から、土砂災害警戒情報や氾濫危険情報が発表されて、政府や地方自治体から避難勧告が出される頃、あるいは緊急避難指示が発表されるレベルとなります。

情報的には、「土砂災害警戒情報」「高潮特別警報」「高潮警報」「氾濫危険情報」などです。

大雨警戒レベル4となったら対象地域の全員が速やかに避難場所などに避難する必要があります。いつ川が氾濫して堤防が決壊し、土砂災害が起きるか分かりません。

SNSや報道を見る限り「いやうちは川から離れているから大丈夫だよ」という年配の方が多いようですが、土砂崩れや堤防決壊して「そろそろ逃げようか」と思った頃には手遅れです。そういう怠慢な人の救助は人類のムダであるし、何しろ死にたい人は基本的にいないわけですから、大雨警戒レベル4になったら絶対に避難して欲しいものです。

大雨警戒レベル5 自分の命は自分で守って

大雨警戒レベル5は、既に大災害が発生している状況、またはその可能性が非常に高い状況です。

情報的には、「大雨特別警報」「氾濫発生情報」が相当します。

気象庁からは特別警報などが出ていて、被災地の自治体が必死に情報を出し、避難場所への移動も困難で、もしかしたら救助が始まっている状況です。

こうなると、もはや自分や家族の命を守ることを最優先に状況に応じて逃げなければならない超緊急事態です。

大雨警戒レベル5になってから逃げても完全に手遅れです。

どの警戒レベルで避難所に逃げればいいのか

例えば、大雨警戒レベル3なら確実に避難できるわけではありません。そんなこと誰も保障しません。

地域の河川の治水対策などは相応に各地方自治体が把握していて、多くの河川では水位水量を遠隔チェックしていることでしょう。でもそれも完璧ではありません。センサーを無限に設置できるわけではなく、設置されていないところが決壊しないとは誰も保障しません。

ましてや災害に対して、あなたの住まい自体、家の地盤や周りの環境を保障してくれる人はいません。

だから政府や地方自治体がハザードマップを発行しているのです。対策度外視でこんな酷い状況があったらこのへんはヤバいですよ、と教えてくれているのです。

ですから、ご自宅やお子さまが通われている学校、勤務先及びそれぞれの通路と避難場所への経路についてはご自身で確認しなければなりません。

政府や自治体、公共団体に対して、自分たちはお客様だ的な人が増えているような印象があり、「税金払ってるんだからちゃんと災害対策取られているよ」とか「いや、このへんは学校があるから命に関わるような災害は起きない場所なんだよ」とか訳の分からないことを言われる方もおられますが、自分と家族の命は自分達でしか守れないことを再認識しなければなりません。これは今の時代とかじゃなくて石器時代から現代まで共通です。

という意識を持たれた前提で、ではどのレベルで避難を開始したらいいか考えてみます。
現実的に、お一人暮らしのご老人や自由に動けない方、乳幼児をお連れの家族などは、やはり大雨警戒レベル3になったら避難所に向かうべきでしょう。

大した被害が起きず空振りでもいいじゃないですか。大事にならなくてよかったねで。

比較的自由に動ける方であっても大雨警戒レベル4には避難所に向かうべきと考えます。

警戒レベル5になったら、もう避難所には行けないと考えた方がよく、もう屋根の上だろうが何だろうが生き延びるために出来ることは全てやらなければなりません。こうならないためにも遅くとも警戒レベル4で避難してください。

まとめ

最近始まった「警戒レベル」の一つとしておそらく頻度が一番高いであろう「大雨警戒レベル」を主題としてご紹介しました。

黙っていても政府や自治体が守ってくれてたのに止めたのか?ではなく、もともと非常事態には自分達の命は自分達で守らなければならない、と現実路線に変わったものであることは前提として理解が必要です。

その上で、どの程度でどんな情報が来て、では何をしなければならないかレベル分けされたもので分かりやすくなったと言えます。

昔なら警戒レベル3相当で避難所に行っても「まだ災害じゃないから避難所開いてないよ」と言われてたかもしれませんが、こうした基準が明確になれば地方自治体も避難所を速やかに開いてくれることでしょう。

以上、最後までご覧下さり誠にありがとうございました。

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